一馬力工廠

プラモデル製作と考証・キット雑感

SS第503重戦車大隊 314号車

314号車とされる写真。戦闘後もしくは終戦後すぐか?

路面が片付けられているので戦後時間を経ているか。装備品は持ち去られたと見えて小綺麗になっており、先の写真にはない転輪中心部から油漏れも確認できる。

2枚目の別角度から

SS第503重戦車大隊 314号車は3枚も写真が残っています。

このおかげで当時の状況が色々と判明します。

まず戦闘後(戦争後?)の早い時期に撮影されたと思われる1枚目が最も現況に近い

はずで、防盾と車体に被弾している以外は状態は良さそう。

 

重戦車大隊記録集2によればSS503大隊が最後にティーガーIIを受領したのが1月25日で

314号車がそれ以前からの車両なのかは判然としないものの敗戦直前まで戦闘状態を

維持し続けていたという事は生産ラインの品質もこれらの車輌までは十分な高さだった

と推察できます。

そして記録集では錆止め塗料を利用した3色迷彩に斑点の「光と影」迷彩だったと記述

していますが、1枚目を見る限り斑点が確認できません。

写真の品質なのか、反射して見えないのか、「ただの」3色迷彩だったのか考えたとき

私は斑点なしだと判断しました。

 

砲塔番号は書かれていたようですが、伍長の証言によれば塗りつぶしたそうです。

受領時に工場で消したか前線で消したか?前線に塗料があったのかな?

被弾痕

外側転輪は明らかに明るい色で塗られているので、ダークイエローだとしても

内側の転輪は影か錆止め色か不明。たぶん塗ってないだろう(笑)

左側面

左側面は全く確認できないので被弾と切れたワイヤーでそれらしく

燃料吸気パイプを自作

タミヤのキンタは今もって十分な品質だと思います。

多少手を加えればそれらしく見えるし

○○の形状が~

とか

△△社ではここが~

なんて批判する人もいるけど、組み立てればどっからどうみてもキングタイガーだし

そんな目くじら立てなくても組みやすさと砲塔・ハッチ内部の一部再現を考えれば

この価格かつ入手困難にならない事を考えると優秀キットだと思いますね

 

塗装について個人的に思うのは戦車は意外と錆びなくね?と思ってます。

(排気管だとか常に熱に晒される部位は別として)

戦車って基本的に新車で戦争後期の新型車両であれば尚更新車です。

戦闘平均寿命を考えれば2年生きればご長寿の部類だろうし。

塗装は剝げるけど炎上したり放置されて雨ざらしでもないと

錆びた車両を見た事ないですし

 

訓練車輌やお下がりの中古戦車ならまだしもって感じですが

その車輌でさえ「絶対に」保守・整備を受けているはずです。

44年のノルマンディーに居た4号戦車C型なんて、ややくたびれてるとはいえ

パリっとしてるじゃない。ノルマンディーにいるのに!

パリッとした4号C型 ノルマンディーにて

「あれは戦闘してない車輌だ!」

 

と反論されそうですが、戦闘してない車両が錆びてないのなら

戦闘してる戦車なんて錆びる前に撃破されてますよ。

戦車が呼ばれるような場所は激戦区以外の何物でもありませんから。

 

パッと見リアリティに溢れているように見えるんですが追求しすぎて

現実離れするっていうなんだか策士策に溺れる的な事になっているような

いないような感じがする今日この頃